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パリのカルチエ散歩者のための季刊マガジン"ぴえとん"
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54 鳩小屋に戻るパリの鳩
フランスの都市で見られるドバトの歴史は都市の建設時に遡る。フランスでは鳩を食するが、食肉としての飼育が低下した18世紀には多くの鳩が野放しにされ、19世紀には鳩小屋も流行らなくなったという。そうした流れの中、野生化した鳩たちは、外敵も少なく、食物にも困らない都市での生活を極め、繁殖し始めた。
世界大戦中には半減した鳩数だが、その後は毎年増加する一方。また、減少を記録した80年代には網での捕獲後、田舎に放したり、科学的に避妊対策を施されたエサが散布されたりもしたが、他の地域にて都市の病気の伝染のリスクから前者、化学薬品が自然に及ばす副作用から後者も禁止となった。

今日、パリ市内における鳩人口は10万といわれる。カフェや商店の軒下に巣を作り、糞による公害はもとより、伝染病、衛生面での懸念が絶えない。

そんな鳩対策として打ち出されたのが、試験的に始まった巨大な鳩小屋。現在、14区(boulevard Brune)に続いて、11区(rue de la Roquette)、18区(rue Nadar)、2区(rue Réaumur)に設置されている。寒さをしのぐ快適な鳩小屋によって、益々繁栄するのではないか、と一見思われるが、鳩人口の調整の為に設けられたものだ。

さて、どのようにこれらの鳩小屋は機煤_するのかというと、まず小屋内での餌付けによって歓迎を試み、入居を促す。そして、各カップルの第一産卵のみを保護し、それ以後の産卵は振動を与えることによって、孵化を防ぐという。よって、一カップルあたり年間6〜8回行われる産卵を1回に押さえ、増加を調節するらしい。

衛生面では毎週行われる小屋の清掃は民間に委託。また国立アルフォール獣医学校により、病気や怪我を負った鳩達は手当を施され、死亡率も管理されている。

集まって来ている鳩の数は多く、なかなか居心地も悪くないのではないかと思われる。鳩小屋から始まり、再野生化した鳩達が、また鳩小屋に戻るというリータン。こうして、パリの鳩達は新しい生活環境を迎え、パリジャンとのより良い共存生活をめざすことになったわけだ。

[text: SUGANO Aki / 2007年11月1日]
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53 フランスへの移住の足跡を辿る国立移民歴史博物館
移民に関する討論が絶えないフランスだが、ホットなのは家族を呼び寄せる際に血縁証明としてDNA鑑定を導入するという法案の可決かと。200ユーロ相当する鑑定費用は移民希望者負担であることから、貧しい移民を排除する為の法律として反論を呼んでいる。

そんな中、10月10日にオープンした新しい博物館、国立移民歴史博物館に行ってきた。以前にアフリカ・オセアニア博物館として訪れた人もいるかと思うが、ヴァンセンヌの森の入口に位置する、昨年オープンしたケ・ブランリー美術館によって空っぽになった建物だ。

ちょうど2つの世界大戦の間に建設されたこの宮殿。30年代の植民地撤退派が出て来た中、1931年の国際植民地博覧会の際に除幕された。単一権力によって統一される植民地を含めた領土という考えの普及、そしてフランス国民への植民地への投資の促進といった目的の下、800万人がこの博覧会に詰めかけた。

建築家アルベール・ラプラドが手がけた建物はシンメトリーから想起されるギリシャ神殿、モロッコの宮殿に見られるパティオを模したモザイクのホールなどとエキゾチックな要素がたっぷりと含まれている。博覧会後、海外領土・県博物館、アフリカ・オセアニア博物館と用途を変え、今日に至る。

さて、移民と言うピンと来ない人もいるかもしれないが、私のような在仏日本人ももちろん移民な訳だ。
展示スペースでは、まずは天井から下がる複数の世界地図によって人類がどういう方向で移動したのかというのが年代を追って紹介されている。日本からブラジルへの移住はもちろん、フランスにおける日本人人口の推移も見られる。

展示は19世紀半ばから今日にかけて、フランスが移民によって受けた影響を文化、生活などとテーマ別に紹介されている。例えば、イタリアから来た移民はアコーデオンを製造し、そして文化としてフランスに広め、などと移民がフランスに持ち込んだモノが展示され、スーツケースやタチのチェックのビニール鞄などもある。

ポスター、映像、写真などと様々な普_現を用いて分かりやすい説明がなされており、今日のフランスに至るには、多くの外国人が幅広い分野で貢献していることがわかるわけだ。深刻な失業問題を抱えたフランスで外国人労働者に対する見解は様々だが、元を正せば、フランスが必要として呼び寄せたのが始まりという訳で、なかなか複雑な仕組みかと思う。
有名人のコーナーでは、ショパンを始め、サッカーのジダンはもちろん、我らがニッポンの代普_は高田賢三さんだ。
カラフルにデザインされたモダンな展示スペースでは、モニターで行えるクイズなどによって、フランスに於ける『移民』への理解を深める思考がこらされている。

貴重な資料が一挙に年代を追って見られる、という以外には変哲のないオブジェが単に展示されているだけ、とも言えるこの博物館。満喫したいなら、無料で借りれるオーディオガイドを利用して、ポイントをしっかりチェックだ。
ちなみにオープン記念として年末までは入場料が3ユーロ(水族館は別途)なので、この機会に是非足を運びたい。

また、地下にあるのは1931年から存在する水族館。植民地の魚というわけで、熱帯魚をメインに5000種を誇り、骨格と併せて3種のワニが見られることでも有名だ。ナポレオンという名の30年も生きるという巨大な青い魚が印象的だ。

水族館と移民の妙な組み合わせだが、植民地から始まり、海外に焦点をしぼったのがこのポルト・ドレ宮殿。大陸に位置するフランスの歴史において、重要な役割を果たした外国人の歴史を再確認したい。

国立移民歴史博物館
Cité nationale de l’histoire de l’immigration
Palais de la Porte Dorée
293, avenue Daumesnil 75012 Paris
メトロ : 8番線Porte Dorée
開館時間 : 10:00〜17:30、土日10:00〜19:00
水族館 : 10:00〜17:30
休館日 : 水、祝日
http://www.histoire-immigration.fr/


[text: SUGANO Aki / 2007年10月15日]
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52 言葉には用心しろ! Ben
芸術の都と言われるパリでは、美術館で見られる重要なコレクション以外にも、街角にパブリック・アートが溢れている。ベルビル通りにあるフレエル広場Place Fréhelでふと、見上げると飛び込んでくるのが、\"Il faut se méfier des mots(言葉に用心しなければならない)\"。ペンキ職人風のマネキンが作業を終えたところ、といったシチュエーションを模したインスタレーションになっている。

黒板を想起させる黒のバックに白のかわいらしい筆記体のイロニーたっぷりの手書きのスローガン。この文字を通りすがる人のTシャツなどのデザイングッズで見かけた、という人は多いかと思うが、ベンBen(本名バンジャマン・ヴォーティエBenjamin Vautier)は1935年イタリア生まれのフランスのアーチストの作品だ。

50年代後期は、ニースの彼のレコード屋さんを異様なオブジェでファサードを飾り、芸術作品へと変化させ、現在、ポンピドーセンター内の国立近代美術館のコレクションとなっている。
ベンの口癖は『自分が成功したのならば、それは他の人をコピーしたからだ』。サインされてない物には一貫としてサインをし、アートは意向にあり、サインをするだけでいいのだ、と『所有のアート』と定義した。既製品を用いた作品、レディ・メイドの流れの中で、自分の排出物を作品としたピエロ・マンゾーニには、先を越されてしまった、なんていうベンはオブジェに自分のサインを入れることで、自分の物にする、という作為を展開して行った。

夏休みも終盤となると、新学期用の文房具がお店に並び始める。今年のクオバディスQuoVadisのダイアリーもベンのシリーズが出ている。\"J\'economise mon cerveau(脳みそ節約中)\"といった彼のスローガンとサインの入った新学期グッズを手にすることによって、自動的にベンと共有することになるだなんて、皮肉な話。ベンの言葉には用心だ。

Il faut se méfier des mots
Place Fréhel 75020 Paris
www.ben-vautier.com/


[text: SUGANO Aki / 2007年9月15日]
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51 パリの儚いシュールな建物39GeorgeV
セーヌ川からシャンゼリーゼ大通りに向かってジョルジュ・サンク大通りavenue George Vを登って来ると、正面に奇妙な建物が。まるで、熱気によって歪むヴィジョン、または蜃気楼か、という幻の建物!? 思わず疲労かしら、と目を擦ってしまうが、その異様さは進むたびに現実感を増し、心細くなる…。

ジョルジュ・サンク大通り39番地は旧・赤潤_字本部に金融グループ、ブリーカーBleeckerの新本部設置の為、大工事中。フランスではよくある、この工事中の建物を覆う、騙し絵トロンプ・ルイユを手がけたのは、ルイ・ヴィトン本店の大きなスーツケースも実現させた、モニュメントサイズのコミュニケーションツールを扱う、アテム社Athem
ピエール・ドラヴィPierre Delavieによるこのシュルレアリスムの壁画はとろけるチーズからインスピレーションを得たサルバドール・ダリの柔らかい時計、『記憶の固執Persistance de la memoire』へのオマージュだ。建物の写真の遠近法を外し、歪ませてビニールシートにプリント。同様に揺れる立体のバルコニーへ巧妙に、組み込ませ、現実と非現実が一体化されている。
どこからみても、とてもよくできていて、見れば見るたびにシュールだ。洗練されたブティックや高級ホテルが並ぶ界隈で、都会の消費社会からふわっと抜けた非現実的な世界に引き込まれる。

39GeorgeVは2007年末まで浴_定されている、工事期間のみだけ見られる一時的な作品。制作には40人の手を用い、300時間の制作時間、40時間の設置、そしてバルコニーの立体部分に20時間、ライトアップに10時間も要したと言う。工事現場を包み込むビニールシートはなんと2500m2もある。

『都市のシュルレアリスム宣告Manifeste du surréalisme urbain』と題してオンラインで過程を辿るブログも設けられている。都会のシュールレアリストの発展を促すコメントを収集しする他、39番地からのホットな情報を配信し、動画も見られる。

39GeorgeV
住所 : 39, avenue George V 75008 Paris
http://www.39georgev.org/


[text: SUGANO Aki / 2007年8月15日]
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50 チープに夏のバカンス、パリ・プラージュ
2002年の夏以来、パリの夏の風物詩ともなったパリ・プラージュ。今年の注目は、定番となったセーヌ川を離れ、お目見えしたヴィレット貯水池Bassin de la Villette。映画館MK2のある、メトロjauresとCrimeeの間で、セーヌ川同様、日光浴が楽しめる。

この試みとなったのは、どうも、CONFIER-COFIMURという企業が絡んでいるらしい。始発点となるJauresにあるFermiers Generaux(1785年に作られたパリを隔てる壁の内に入るための納税所)、ロトンド・ドゥ・ルドゥが同社によってレストランと文化の場に改装されることにはじまり、同様、終点となる運河脇に立つ小麦の貯蔵庫、Magasins generauxがホテルに改装中である。そんな、経済的プロモーションを背景に、セーヌ川からやってきた19区のパリ・プラージュなわけだ。

貯水池ということで、嬉しいのはセーヌ川ではできなかった、水上スポーツが手軽に楽しめること。カヌー、ボート、そして子供達のペダル・ボート、と海水浴は楽しめないとはいえ、さらに水辺に近い一時が過ごせる。

セーヌ川同様、カフェ・ペタンクもある。身分証明所の提示で、ペタンクの球を一時間無料で借りることが出来る。個人的に、ペタンクはアニスのお酒、パスティスを片手にまったりと楽しむ球技であり、夏のバカンスのイメージが強い。初めての方も、カフェ・ペタンクのスタッフが遊び方を教えてくれるので、是非、この夏、デビューを!ちなみに、コートに隣接するペタンク・カフェのテラスには、ルールを知らない初心者の磨_走球が飛んできそうなので、ご注意を。

また、両岸に向かい合って立つMK2の2館を結ぶのはMK2のシャトル船。50サンチームで乗船できるので、チープにクルーズ気分を味わってみるのもオススメ。

Paris Plages 2007
2007年7月20日〜8月19日 8:00〜24:00
Louvre au Pont de Sully – Port de la Gare – Bassin de la Villette


[text: SUGANO Aki / 2007年8月1日]
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