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パリのカルチエ散歩者のための季刊マガジン"ぴえとん"
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52 第61回カンヌ映画祭
 今年のカンヌ、名前を聞いただけでゾクゾクする超豪華リストとなった。コンペ部門は、ヴェム・ヴェンダース、クリント・イーストウッド、スティーヴン・ソダーバーグ、ダルデンヌ兄弟に、フランスからはアルノー・デプレシャンとフィリップ・ガレルまでが並んだ。ヌーヴェル・ヴァーグの作風を継承するデプレシャンとガレルには期待である。

 「ある視点」部門には、フランスで根強い人気を誇る黒澤清監督の『東京ソナタ』のほか、レオス・カラックスが「Merde」のタイトルで参加したオムニバス映画『Tokyo!』が選ばれている。カラックスといえば、かつて、当時の恋人ジュリエット・ビノシュと日本にやってきて、彼が成瀬巳喜男監督の『乱れる』などで心酔していた女優・高峰秀子のもとを訪れ、異常に興奮したといわれている(たしかに『乱れる』の高峰秀子の演技は秀逸です)。あまりにも寡作で、カラックスがまわしたフィルム自体が貴重となりつつあるが、果たしてどんな東京を切り取ったのかは興味があるところだ。

第61回カンヌ映画祭
5月14日〜25日

[text: Sawabe Yuji / 2008年5月15日]
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51 ギャラリー・ラファイエットでアジアンアートの今に触れる
パリを代表するデパートといえば、ギャラリー・ラファイエット。そこへ足を運ぶ最たる目的は、勿論買い物である。しかしその館内に、実は本格的なギャラリースペースがあることを、ご存知でいらっしゃるであろうか。

その名も『La Galerie des Galeries(ギャラリーのギャラリー)』は、免税カウンターなどがある本館の2階(フランス式1階)にある。もっと詳しく言えば、シャンパン・バーの奥のほうの、ちょっと目立たない場所にある。

現在ここで開催されているのが、『Mellow Fever』展だ。河原温といった超大御所から、80年代生まれの若手作家まで、日本、韓国、中国…と、アジア各国のコンテンポラリーアーティスト10人の作品が集められている。若いながらもパレ・ド・トーキョー等で経験を持つ新進気鋭のキュレーター、シモン・コスト氏を迎えての企画だ。たかがデパートの一角、とあなどってしまうと後悔してしまうほど、気合の入った展示なのである。自らも中国に留学経験のあるコスト氏は、ヨーロッパ人が伝統的に傾倒するエキゾチシズムに全くとらわれないビジョンでアートに問いかける。

思えば一昔前の日本では、池袋西武のセゾン美術館をはじめとし、デパートで芸術に触れる機会は結構多かった(今はどうなんでしょう?)。ここは芸術の都パリ。是非ともギャラリーラファイエットに、日常の生活空間の中のアートシーンをぐいぐいと牽引していってもらいたい、と思う次第である。

『Mellow Fever』展
2008年6月14日まで
月曜−土曜 9:30−19:30(木曜は21:00まで)
入場無料


Asiatic
ギャラリー・ラファイエットでは5月17日まで、現代アジア文化を大フィーチャーしたイベント『Asiatic』を開催中。今回ご紹介した『Mellow Fever』展のほかにも、漫画喫茶からコスプレファッションショーまで、イマドキのヨーロッパ人が描く、ポップでキッチュなアジアのイメージ炸裂企画が目白押しとのこと。我々アジア人のイマジネーションさえ凌駕するパワーに触れてみてはいかが?

La Galerie des Galeries
Galeries Lafayette
40 Bd. Haussmann
75009 Paris
http://www2.galerieslafayette.com/


[text: HONDA Mayu / 2008年5月1日]
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50 フランス映画祭2008
横浜から日本の首都・東京にその場所を移して早3年目となるフランス映画祭。2006年キャロル・ブーケ、2007年カトリーヌ・ドヌーヴに続き、今年の映画祭団長にはソフィー・マルソーが決定した。

 上映作品は、ソフィー・マルソー監督の『ドーヴィルに消えた女』(オープニング作品)、エリック・ロメール監督の『アストレとセラドンの恋(仮)』など、14本の話題作がそろっているが、紅一点は『猫が行方不明』などで知られるセドリック・クラピシュ監督の『パリ』。

 病におかされて、自分の死について考えるようになった、ひとりのパリジャンの物語で、死を意識しはじめた途端、他人の生活、街中で営まれている生活が突如として意味を持ち、野菜を育てる人々、パン屋の娘、ソーシャルワーカーの女性、ダンサー、建築家、ホームレス、大学教授、モデルの女性、不法滞在のカメルーン人…、それらすべての人々が、互いに対立しながらも、この街のなかで、この映画のなかでひとつになっていく。彼らの抱える問題は些細なことかもしれないけれど、本人にとっては、世界で一番重要な事柄なのだということに気づく。クラピシュに常連のロマン・デュリスにジュリエット・ビノシュらが加わり、いつもながら小粋で後味さわやかな群像劇に仕上がっている。

 ユーロスペースでの特別回顧上映には『ジャックリヴェット・レトロスペクティブ』とし、ジャック・リヴェット監督生誕80年記念の年に相応しい、豪華なプログラムも予定されている。

フランス映画祭2008
www.unifrance.jp/festival/
<東京会場>
期間:3月13日(木)〜3月16日(日)
場所:TOHOシネマズ六本木
<大阪会場>
期間:3月16日(日)〜 3月18日(火)
場所:TOHOシネマズなんば


レトロスペクティブ ジャック・リヴェット 秘密と法則の間で
<第一期>
期間:2008年3月15日(土)〜3月21日(金)
場所:ユーロスペース
<第二期>
期間:2008年3月16日(日)〜4月27日(日)
場所:東京日仏学院


[text: SAWABE Yuji / 2008年3月1日]
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49 痛快モリエール
パリ・オデオン座で現在上演中、モリエールの『L\'ecole des femmes(女房学校)』がなかなか話題を呼んでいるようだ。モリエールといえば、言うまでもなくラシーヌとコルネイユと並ぶ、フランス17世紀三大劇作家の一人。21世紀になった今でも、コメディ・フランセーズをはじめフランス国内の大小の劇場で、彼の作品はこれでもかというくらい頻繁に上演されている。個人的には、ギリシャ悲劇をベースにしたものが多いラシーヌやコルネイユの作品より、現代社会の感覚にも潤_分に通じる痛烈な風刺が小気味よい、モリエールの喜劇のほうがとっつきやすい。まさにこの『女房学校』はそんなモリエール節が炸裂する作品だ。今回のオデオン座の公演では、主役のアルノルフを演じるのが名優ダニエル・オートゥイユときては、見逃す手はない。

悪い女に騙されることを恐れるあまり、アルノルフは自ら世話をする孤児アニエスを娶ることにした。しかし、友人オロントの息子であるオラスに、アニエスへの恋心を打ち明けられる。オラスは「アニエスを閉じ込めている悪い奴」がアルノルフということを知らないのだ。アニエスを問いただすと、純粋な彼女は悪びれもなくオラスへの恋を認める。これは急いでアニエスと結婚しなければならないと、アルノルフは彼女に「妻の心得」的な怪しい本を渡す…と、ざっくりあらすじを書いてしまうと、なにが面白いのだかよくわからないのが残念。実際舞台を見てみると、アルノルフのもの悲しささえ漂う傲慢さと、大人の社会の事情まるで無視状態アニエスの容赦ない直球さの歯車がかみあっていないやりとり、その台詞の1つ1つの巧妙さがたまらないのだ。

演出家のジャン・ピエール・ヴァンサンは、「笑い」に重点を置いたという。20世紀を代普_する「笑い」、スラップスティック映画からもインスピレーションを受けたようだ。舞台の上の人物たちは、チャップリンやキートンのようにドタバタと動き回り、会話の合間のちょっとした仕草もどことなく現代的だ。クラッシックな衣装のチョイスにも関わらず、ご近所さんのもめごとを見ているような気にもなってしまうようなわかりやすさである。

フランス古典喜劇で、ユニヴァーサルな笑いを。17世紀の観客たちが腹を抱えて笑っていたのも容易に想像できるが、21世紀の日本人にとってもやはり笑えるものは笑えるのである。

L’ecole des femmes(女房学校)
2008年3月29日まで

L’Odeon – Theatre de l’Europe
http://www.theatre-odeon.fr/
1 Place de l’Odeon 75006 Paris
メトロOdeon駅下車


[text: HONDA Mayu / 2008年2月1日]
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48 パレ・ド・トーキョーのホテル
パリでは、建築家やデザイナーが手掛けた“デザインホテル”がこの数年増え続けているが、11月半ばには現代美術館「パレ・ド・トーキョー」の屋上にも、ホテルが誕生した。

屋上にぽつんと置かれたグリーンの箱−これがホテル「ホテル・エヴァーランド」だが、スイス人アーティスト、サビナ・ラングとダニエル・バウマンのユニットL/Bによるプロジェクト、つまり移動式アート作品なのだ。アート空間でありながら、一般の人がホテルとして利用することで日常生活の空間へと変化し、そして宿泊者はおのずとアート作品の一部となるわけだ。

もともと「ホテル・エヴァーランド」は2002年、スイス博覧会のために創作され、2006年6月から約1年間はドイツのライプチヒ美術館に設置されてホテルとして利用された。「パレ・ド・トーキョー」が最終地点だそうで、2008年12月31日までの期間限定。箱型を見ればわかるように、客室は1室のみ。もちろんバスルーム、ダブルベッド、ラウンジを備え、なんといっても最大のポイントは、目の前のエッフェル塔やセーヌ川をはじめ、パリが一望できる立地条件。

大きな話題を呼んでいるだけに、3カ月先まで満室とか。11月16日から2008年1月15日以降の浴_約が可煤_だ(詳しくは同ホテルのサイトで)。さらに今年の12月31日夜の浴_約については、11月15日からオークションがスタート! 7日間にわたって行われるが、いったいいくらで競り落とされるのか?

Hotel Everland Paris
Palais de Tokyo
13, avenue du PrEsident Wilson, 75116 Paris
料金:333ユーロ(日、火、水曜)/440ユーロ(木〜土曜)
月曜休
http://www.everland.ch/fr/home/


[text: MITOMI Chiaki / 2007年11月15日]
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