大自然と生きる料理人 2人のブラス

Filed under: 映画, @ 2012年3月16日
 
SEB MICHEL
©JOUR2FETE

ライオール(ラギオールとも発音)は、ナイフの生産地として知られるフランス中南部のオブラック地方にある小さな村。大自然のど真ん中、このライオールの高原の頂上に、世界中から訪れるホテル・レストラン「ミシェル&セバスチャン・ブラス」が立っている。1999年からミシュランガイドで3つ星を保持しているこのレストランを率いるミシェル・ブラスと長男セバスチャンを追ったドキュメンタリー「アントル・レ・ブラス」が、3月14日から公開されている。

2009年、ミシェル・ブラスは、息子のセバスチャンに店を任せることを決意。料理人から料理人へ、父親から息子へ、料理に対する哲学や精神がどのように受け継がれていくのか-。日常生活のなかで交わされるさりげない2人の会話、ブラス家の歴史、ミシェルの両親をはじめとするブラス家の人々とのやり取りを通して、そして四季折々のオブラックの自然のなかで、たんたんと映し出されていく。

「3つ星レストランを残すということは、子供にとっては決してうれしい遺産ではないでしょう」。3つ星レストランを引き継ぐ厳しさについて、これまでのインタビューの中でも、映画の中でもミシェルと夫人が語っている。ミシェルは毎日、厨房に立っているが、調理は行わず、セバスチャンのサポートに徹している。数歩後ろに立って、息子を見つめる眼は、優しくて厳しい。ユーモラスでありながら、切なくもなる。

誰もいない厨房で、1人で新作を試し続けるセバスチャン。ときには父親を、そして父親と自分の長男が自宅のキッチンに立つ姿を、後ろからただ見つめている。そのまっすぐな視線と沈黙のなかに、たくさんの言葉が隠されているように思えてくる。

GARGOUILLOU

スペシャリテの「ガルグイユー」。©JOUR2FETE

 

AUBRAC

©JOUR2FETE

映画のタイトルになっている「ブラス」はもちろん2人の名字だが、小文字でbrasと書けば、「腕の間に」という意味にもなる。ブラス家の料理人と料理が、家族の愛情と大自然の懐の中ではぐくまれていることが、あらためて実感できる映画だ。

Entre les Bras -La cuisine en héritage

パリ市内の映画館(MK2 Beaubourg、Le Lincolin、L’Arlequin、Sept Parnassiensなど)で公開中

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